Divingbeetlesのブログ

水辺の生き物について綴っています。

ガムシ幼虫飼育 

 

 

会社から家に帰った私はプリンカップとピンセットを持って玄関のドアを開けた。

 

 

6月に入ると日もかなり長くなり、平日の仕事終わりに目に入った夕焼けは少し違和感を覚えた。

 

その足取りに迷いはなく、向かった先は家の近所の田んぼ。

 

今日もヤツらのエサを集めるのだ。

 

 

 

 

 

 

 


前回のお話↓

 

divingbeetles.hatenablog.jp

 

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メスが産んでくれた卵嚢から

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ガムシの幼虫が30匹ほど孵化しました。

 

似たような水生昆虫であるゲンゴロウの幼虫と比較してみると

 

 

下の写真のゲンゴロウの幼虫(コシマゲンゴロウ)はエイリアンという言葉が当てはまりそうです。

それと比べると、ガムシの幼虫(上の写真)は何だかイモムシみたい。

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そんな幼虫時代の寸胴みたいな格好も含めて好きな虫です。

 

おそらく見た目が無理な人もいるはずなので、無理を前提に10秒観察してみてください。

 

 

泳ぎ方おもろい、ウネウネしてるとか、ちょっと目がかわいいとか、そんな発見が1つでも見つかれば良いなぁ、なんて。

 

 

その10秒でもやっぱり無理と思う方は、ガムシという虫が農薬や河川工事などで数を減らしながらでも限られた日本の水辺で生きているという事実さえ知ってくれるだけても嬉しいです。

 

↑何言ってんだコイツ( ´ ▽ ` )

 

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話が逸れました。

ダイソーで購入した収納ケースに砂利と水草を入れて飼育しています。

 

ゲンゴロウの幼虫と違ってよほど空腹でない限りは共食いする可能性は低いそうです。

 

 

なので多頭飼育することに決めました。

 

飼育環境については

 

私もネットで集めた知識なのですが、

 

 

 

○移動しやすいように砂利を敷く。

 

○呼吸しやすいように水位をかなり浅くする。

 

 

 

この2つを取り入れてみました。

 

 

というのが、ガムシの幼虫は水中を泳げるのですが、エサを探す際に水底を這うように移動するので、脚を石に引っかけやすくするように砂利を敷いた方がストレスが減るとのことです。

 

 

そして、水位を浅くすることについて。

 

 

ガムシの幼虫は、モノアラガイやサカマキガイなどの巻貝を好んで捕食します。

 

 

幼虫は大顎で貝を挟んで、水面から上に突き上げるようにして食べていきます。

 

 

その際、呼吸しやすい位置など食べやすい状況を作るのが良いかと考え、水位を少し低めにしました。

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ふぉぉぉー!!!クワガタみたいでかっけぇぇー!!!( ^∀^)

↑うるせぇ

 

‥‥‥‥おっと、失礼しました。

 

 

 

このように幼虫の顎は左右非対称になっています。

 

缶切りみたいに貝の入り口に噛みつき、ひねりながら消化液を出していき、溶かしながら食べます。

 

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これがモノアラガイ。


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そしてらこちらがサカマキガイ

 

 

似ているようで巻き方が少し違います。

 

 

モノアラガイよりサカマキガイの方が顎を入れずらいのか、上手く中に入れず、貝殻をバキバキに破壊しながら食べます。

 

 

 

『それなら食べやすいモノアラガイを与えてあげたらいいじゃん!』

 

 

って思うでしょ。

 

 

見つからなかったんです。

 

 

生息地で採取してきた貝を与えているんですけど、最初採取して持ち帰った200匹の貝を見るほとんどサカマキガイだったんです。

 

 

モノアラガイは20匹に1匹いるかどうかの割合。

 

 

ただ、問題は特になかったみたいです。

 

サカマキガイだけで育てていった結果、25匹ほどが順調に2令幼虫に脱皮してくれました。

 

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脱皮直後の2令幼虫

 

ここまでは順調だったのですが、エサの方が追いつかなくなったので近所の田んぼから貝を採取しました。

 

 

(後ほど説明しますが、これが良くなかったみたいです。)

 

 

 

2令幼虫は、100匹のサカマキガイを2日足らずで全て平らげます。

 

 

よって2日に1回は田んぼに出かけてピンセットを使って泥の上にいたり、壁にへばりついているサカマキガイを採取するのが日課になりました。

↑【冒頭に戻る】

 

 

そうしている間に、2匹ほど2令から3令幼虫に脱皮しました。

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初令幼虫と3令幼虫

 

ここまでデカくなってくれたことに感謝。

 

3令幼虫はこの段階で5センチほど。

 

約8センチ前後まで大きくなるそうです。

 

 

   

 

 

 

しかし、ここで悲劇が起きました。

 

 

 

 

 

 

蛹に向けて頑張るぞと思った矢先、他の2令幼虫が7割ほど突然大量死してしまいました。

 

 

水換えは3日一度のペースで行っているので、大丈夫かと思いましたが、急な水質悪化かと思い、急いで水換えを行いました。

 

 

しかし、翌日には生き残った半分の幼虫がまた亡くなりました。

 

 

結局3令幼虫になれたのは3匹だけ。

 

 

私は、近所の田んぼで取ってきたサカマキガイに農薬が含まれていたことが原因ではないか、と考えています。

 

 

水生昆虫は農薬にめちゃくちゃ弱いです。

 

 

もしかすると耐性がある種もいると思いますが、基本的に悪影響しかありません。

 

幼虫に関しては羽化や脱皮ができなくなります。

 

3令幼虫になる手前で脱皮できずに日に日に動きが鈍くなり、大量死したのでその可能性が高いのではないかと考えています。

 

 

 

その3匹を個別の容器に移し、エサも、もといた場所から再び貝を採取して与えるようにしました。

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上陸手前の3令幼虫。

7センチちょいあります。

 

 

4日ほど経過して、エサを食べずに容器をぐるぐる回っていたので、これは土に潜って蛹になるチャンス!!!

 

と思い、強制的に土の上にあげました。

 

 

すると、自ら土の中に潜っていきました。

 

大量死とかショックなことあったとけど、とりあえず1匹は大丈夫そうかな、と胸を撫で下ろしました。

 

 

 

しかし、まだ悲劇は続きます。

 

 

 

潜って3週間近くほど経った時、ふとプリンカップに目をやると、土の中で蛹になってるはずの幼虫が土の上に出てきているんです。

 

 

『なんで!?蛹になったんやないかい!』

 

 

ビックリしましたが、まだ蛹になる準備ができていない、つまり、エサをまだ食べる段階だという認識の元、再び水の中に戻し、採取したサカマキガイを与えました。

 

 

初日から3日目にかけてバクバク食べたんですが、4日目は急に食べなくなりました。

 

 

『やっと土に潜るんだな』と思い強制的に土の上に上げましたが、全く動きません。

 

 

おかしいな、とは感じたものの、まぁ、翌日には土の中にいるだろうと思い、そのまま翌日まで待ってみました。

 

 

 

翌日、その幼虫は全く動かないままでそのまま土の上で死んでしまいました。

 

後の3令まで育った2匹の幼虫も、同じく土の中に潜らないまま死んでしまいました。 

 

 

最後の幼虫が死んで全滅した時、正直、めちゃくちゃショックでした。

 

 

何が原因だったのか。

 

 

これも私の予想なのですが、前に亡くなった幼虫の脱皮ができずに死んだ例と同じで、蛹に変態できないのかもしれません。

 

 

今回の失敗は生きているエサ(サカマキガイ)が農薬の強い?田んぼに生息しており、その農薬が体内に含まれた状態でガムシの幼虫が捕食したことが原因なのだろう、と私は推測しています。

 

 

 

私は学者でも専門家でも何でもない素人なので、詳しいことはわかりません。

 

 

ただ、ガムシはすごく好きな昆虫なので飼育して繁殖させて、ガムシ水槽を作ってみたい!という思いがあります。

 

ガムシの繁殖シーズンは5〜7月末まで。

 

 

来年またリベンジしたいです。

 

改善することは、幼虫のエサの貝を採取してくるのではなく、自分で増やしたやつを与えるようにしたいと思います。

 

そして、水槽の中でジタバタしながらたくさん泳いでいるガムシを観察したいです。

 

 

ゲンゴロウとよく比べられるので、地味な虫だと言われることが多いですが、

 

幼虫と成虫の食べる物の変化だったり、その不器用そうな動き方はとても興味深いです。

 

ゲンゴロウと同じくらい

 

私はガムシを推します。

 

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